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日々のこと、映画、旅の感想・思い出などを書き書きします  by さぶろー

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見えない橋

吉村昭の短編小説集。7編収録。mienaihasi.jpg



表題作「見えない橋」は、刑期を終えた出所者を保護する施設の主幹と、36回もの入所経験のある男との交流を描く。
暗い過去と、塀の中の生活に安息を見出だす男は、社会復帰できるのか?
完全なハッピーエンドでも、バッドエンドでもない結末は、清々しさすら感じた。
教会が果たす役割を考えさせられる。

「都会」は、毎日段ボールの家をたたみ、掃き清める几帳面なホームレスの死を、町内会長の視点から描いたもの。別にどうという話ではないが、「死」がこの短編集のテーマということに気付かされる。

「漁火」投身自殺の名所となっている北海道・白滝を舞台として、遺体捜索に関わる漁師の話。受験失敗を苦にして自殺した浪人生の遺体は発見されず、身元不明の死体だけが見つかる。独特の埋葬など、遺体捜索にまつわる話が興味深い。

「消えた町」級友の字のうまさを見て書道を始めた少年。時は流れ、級友は殺人を犯したという。それを伝えた知人も自殺。さらに時は流れ、60歳を過ぎた彼らはクラス会を開く。級友と再会を果たすが…。心に闇を宿したまま、人は死んで行く。

「夜光虫」は、一見人が死んでいないように見えるが…行方不明の男は、ひょっとしたら死んでいるのかもしれない。

「時間」は、ある老婦人ふたりの奇妙な友情を描く。ふたりの夫の死に方に秘められた共通点とは…。同じく吉村昭の「大本営が震えた日」のエピソードだとすぐ分かった。

「夜の道」は、「私」の母が癌に冒され、死ぬまでの家族の喧騒を描く。吉村昭自身の私小説である。安楽死にも繋がる、死に関する倫理を巡る兄との確執などなど。しかしまぁ、苦しむならモルヒネ使うな。自分だったら。

どの話も、いかにも吉村昭的だ。
みなノンフィクション的というか、いや、ほぼ実話をベースにしていると見て良いが、いずれも著者自身の体験なのだ。
フィクションも書くが、やはり彼はノンフィクションに生きる作家だと思う。
生真面目な不器用とも思える姿勢が彼の作品の魅力だ。
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この記事のコメント

こんばんは。さるところから「欲」バトンというのが、まわってきました。ほんとは、自分のところで止め、とも思ったのですが、お嫌でなければおつきあいいただこうかな…と思いまして。
シリアスな記事に、変なTBをつけてすみません。ご迷惑だったら、削除してください。
たいしたことではありませんので。

記事の方の本は、読んだことがありません。お名前はときどき見かけます。随分、暗そうな感じですけど、今度読んでみようと思います。
2005-12-21 Wed 22:05 | URL | あかん隊 #t50BOgd.[ 編集]

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「凛大姐&小姐的極楽日記!」のRINさんから、「欲」バトンなるものが…。美学美術 …
2005-12-21 Wed 22:03 cococo
足跡残しです^^私もブログ始めたので見てください^^ …
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